大学について

少子化大学全入時代など様々な要因で大学が学生を確保することが難しくなってきている。それ故、どこの大学も学生をより多く獲得するのに躍起になっている。もちろん大学としてのプライドという面もあるが、実際は経済面の理由の方が大きい。大学を経営していくには金が無ければ話にならない。

そして、国立大学の法人化が大学の経営難に拍車を掛けている。これに大学はどう対応するかと言えば、産学連携などと言って研究をビジネスにしようとする。確かに研究が巧く行って、さらに金儲けができれば一石二鳥というものだ。しかし、利益を優先することになれば研究内容は限られてくる。直ぐにでも製品として実用化が可能で、手っ取り早く金儲けができる研究がもてはやされることになるし、現実にそうなりつつある。結果として、いつどんな形で役に立つか予測もできないような基礎研究は敬遠されてしまう。

そこで問題になるのは、流行りの研究テーマはいつ廃れるか分からないということだ。金儲けを優先し一時の流行にのった研究ばかりを行い、基礎研究を疎かにするような大学は、学問の府としての価値があるのだろうか。そもそも学術研究とビジネスとは別次元の話なのである。学術研究は、ある程度金銭的な問題を度外視しても、押し進めねばならないこともある。一方、ビジネスにおいては、利益を得るためにはなるべく損失を減らさねばならない。

大学は会社ではなく最高学府であるのだから、様々な研究を行い、その叡智を社会へ還元していく役目を果たす必要がある。それを忘れて金儲けに走ってはならないと思うのである。