2008-05-17 インパルス応答と伝達関数(アナログの場合) 信号処理 前回と同じことをアナログの場合について述べてみる.デジタルの場合と全く同じ議論ができることに注目されたい. フーリエ変換 フーリエ変換とは,アナログ信号処理における積分変換の1つである.任意のアナログ信号のフーリエ変換は次式で表される. ただし,積分が発散してしまう場合はフーリエ変換は存在しない.その場合はラプラス変換を使う必要がある.なぜなら,フーリエ変換はラプラス変換の特殊な場合であるからである.ラプラス変換の収束領域が虚軸を含んでいれば,を代入するだけでフーリエ変換となる.逆に,虚軸を含んでいなければ,フーリエ変換は存在しなくなる.また,虚軸上に極がある場合には,としてもフーリエ変換とはならず,別の項を付け加える必要がでてくる.ちなみに,逆フーリエ変換は で表される. フーリエ変換と畳み込み積分 任意のアナログ信号のフーリエ変換をそれぞれ,とする. 今,のフーリエ変換を考えてみる. つまり,フーリエ変換を用いると,畳み込み積分を単純な積に置き換えることができる. 伝達関数 システムの伝達関数とは,システムのインパルス応答のフーリエ変換である.今,線形システムのインパルス応答をとすれば,伝達関数は, で計算できる. インパルス応答と伝達関数 システムの入出力とインパルス応答は,次のような畳み込み積分の式で表される. このとき,のフーリエ変換を,のフーリエ変換をとすれば,畳み込み積分とフーリエ変換の関係から, という式が成り立つ.つまり,アナログ信号においては入出力はインパルス応答との畳み込み積分で関係づけられ,フーリエ変換後は入出力は伝達関数との積で関係づけられる.